くるみクラブの歴史
上級生の率先実行
(桑原寛樹著「くるみ実る日」より)
くるみクラブが出来て、その間一貫して変わらない、誇っていいことがあります。それは、くるみクラブではキャプテンを中心とした上級生が下級生の面倒を見るというシステムです。(中略)
くるみクラブでは一年生の多くはラグビーを知らないので(授業で初めてラグビーに出会うため)、「あれやれ」「これやれ」といっても出来ません。それは当然のことです。それなのにやらせようとするから問題が起きるのです。それよりも、勝手がわかっている上級生が、グランドの整備、ボール磨き、ライン引きなどをやった方がずっと効率的なハズです。下級生を楽しませてやる余裕、それが上級生の実力というものであり、いい意味での貫禄というものです。威張ることが貫禄ではありません。
一~二年生は、押さえつける上級生や細かな雑用もないので、のびのびとラグビーに取り組めます。くるみクラブでは、練習が終わって一番最初に風呂に入るのは、下級生なのです。他方三~四年生は、いかにしていい雰囲気を作り下級生を引っ張れるか、リーダーシップを執る訓練をするのです。そして、下級生を「暴力や強権でなく、理性や良心や自尊心に訴えて訓練すること」を自らに課して自分をも訓練するのです。また、技術的な面でも下級生の見本とならなくてはいけませんから、練習やトレーニングにも自然と自分の方から研究と真剣さを求めていくようになります。というより、求めざるを得ない立場に置かれるのです。
言い替えれば、入ってきたばかりの何も知らない下級生を、どうしたらいいムードで引っ張れるか、それに成功した四年生は、上級生として合格だといえるのです。(中略)
できるだけ多くの上級生に役職を経験させることで、リーダーシップや人間を掌握してゆく訓練とか、そういう機会を提供できるのです。