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くるみクラブの歴史

歴史1

(桑原寛樹著「くるみ実る日」より)

(桑原寛樹著「くるみ実る日」より)

初めて授業としてのラグビーを教え、前期の授業が終わりに近づいた初夏の頃、わたくしはいつものように学生達とコーヒーを飲んで話をしていました。話題は自然と夏休みの過し方になりました。そこで、「夏休みにみんなで合宿に行かないか」と提案をしてみました。あくまでも、わたくし個人の提案であり、単位取得にも関係ないし、大学から費用が出るわけでもありません。しかし、せっかくラグビーの授業で知り合った仲間なのですから、みんなで一緒に勉強したり、寝泊りして、思い出を作りたい。そう思っての提案でした。

さすがに学生達もすぐには返答できずに困っていたようです。煩わしさやお金のことを考えると、それも当然だったことでしょう。わたくしも半分あきらめて彼らの返事を待つことにしました。

ところが、フタをあけて見ると三十人が参加を希望してきました。これには驚きました。合宿に行くためにアルバイトをして費用を貯めたり、日程の都合をつけたりと、学生達はみんな合宿に向けて勇んで準備を始めたのです。慌てて三十人が泊まれる一円でも安い宿を探すことになりました。(中略)

そして、北志賀高原・夜間瀬の旅館に安い料金で泊まれることになり、夏合宿にゴーサインが出ました。出発前日の夕方、神田・駿河台の金沢スポーツ店から、ジャージが二チーム分(赤色十五着、黒色十五着)届きました。当時、私のボーナスは三万円チョットだったと思いますが、それをはたいて揃えたものでした。ボーナスはなくなったけれど、何か満ち足りた思いでした。

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